がんは、細胞の核の中にある遺伝子(DNA)が傷ついて起こる病気です。人の体には60兆個の細胞があり、周囲の細胞と調和しながら、それぞれの役目を果たしています。しかし、がん細胞は勝手に増殖を続け、あちこちに転移してゆき正常細胞が必要とする栄養を奪い取り死に至らしめます。
このようながん細胞は、細胞が分裂する時のDNAの複製ミスから起こり、これは「突然変異」と言われています。寿命が長くなれば細胞分裂のミスである突然変異を起こす可能性が高くなります。
また、最近の研究では、がん細胞は健康な人の体でも1日の数千個発生しては消えていくことがわかっています。これらのがん細胞を退治しているのは免疫細胞と言われていますが、がん細胞は、もともと私たちの正常な細胞から発生しているもので外から侵入する細菌と比べると、「異物」と認識できない傾向があります。高齢化によって免疫細胞の働きが低下すると、がん細胞への攻撃力も落ち、がんが成長する可能性も高くなります。
遺伝子に突然変異を起こすがんを起こす物質は、たばこや食物の中に微量ながら数多く含まれています。さらには、紫外線、ウイルス、炎症など様々な因子があります。また、塩分の多い食事によって、胃の粘膜の細胞に突然変異が起きやすくなったり、脂肪の多い食事では大腸の粘膜の細胞に突然変異が起きやすくなります。
近年、日本人の食事は塩分と食物繊維が多く脂肪は少ない和食型から高脂肪で高カロリーの洋食型へと変化しています。その結果、胃がんが減り、乳がん、前立腺がん、大腸がん、子宮体がんなどの欧米型のがんが増えています。
東京大学医学部附属病院放射線科准教授 緩和ケア診療部長 中川恵一 著:「ビジュアル版がんの教科書」より
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